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心理カウンセリングの歴史と日本における発展

心理カウンセリングは病院・学校・企業など様々な場所で実施されています。
また、最近では自宅からでも心理カウンセリングが受けられるオンラインカウンセリングも増え、より一層身近なものになりました。
最近ではメンタルヘルスケアの方法としてよく耳にする「心理カウンセリング」ですが、一体いつから用いられている手法なのでしょうか。
今回はそんな心理カウンセリングの歴史について解説します。

目次

心理カウンセリングの歴史
(1)心理学の応用分野としての「心理カウンセリング」
(2)カール・ロジャーズの登場
(3)日本へのカウンセリング導入
(4)日本での心理技法・概念の発展
まとめ

心理カウンセリングの歴史

心理学の応用分野としての「心理カウンセリング」

アメリカで心理学が注目されたきっかけは第一次世界大戦でした。元々は兵士を選別する際の「精神測定」の方法として心理学に基づく検査が多く作成されたのです。その後の第二次世界大戦でも同様に兵士の選別が心理学の主な用途でした。
しかし、終戦後には退役軍人の社会復帰のために「心理的な援助」が求められるようになりました。その結果、心理学を応用して人の心を支援する「心理カウンセリング」が広まっていくこととなりました。

カール・ロジャーズの登場

この当時の心理カウンセリングは医師が占有した状態で、その内容も医師が指示を出し、患者が実践するというものでした。つまり、悩みに対して医師が「答え」を出す状態だったのです。
しかし、カール・ロジャーズは、悩みの「答え」を知っているのは、悩んでいるその人自身だけだと考え、1941年に忠告・意見などの指示を与えず、主体的に自己選択することを援助する技法を発表しました。これは「非指示的療法」と呼ばれ、後に現在でも用いられる「来談者中心療法」へと発展していきました。

日本へのカウンセリング導入

日本でも戦後より学校現場にカウンセリングが導入され、1951年に友田不二男によってロジャーズの理論が日本へ紹介されたことを契機に、全国へとカウンセリングが広まっていきました。
1954年には日本電電公社、1956年には国際電電、1957年には松下電機産業や神戸製鋼所など大手企業がカウンセリングを取り入れ、産業カウンセリングは大きく発展していきました。
また、非行問題の解決や不適応の矯正を目的とする学校現場でもカウンセリングは積極的に用いられました。
そして、次第に一般の人を対象としたカウンセリング機関も増えていったのです。

日本での心理技法・概念の発展

ロジャーズの来談者中心療法だけでなく、日本には様々な心理技法や概念が導入されていきました。

■エンカウンター・グループ
1対1のカウンセリングだけでなく、集団で行う「エンカウンター・グループ」も導入されました。
エンカウンター・グループとは、ロジャーズが開発した集団療法です。自己理解や対人関係の変革などを目的として、健康な人から精神疾患を抱えた人まで幅広い人に適用されています。
1969年にロジャーズのもとで学んだ畠瀬稔が「ベーシック・エンカウンター・グループ」を日本に導入して以来、野島一彦をはじめ、多くの心理学者・カウンセラーによる研究・実践が今も続けられています。
また、自由度の高いベーシック・エンカウンター・グループに比べ、課題や進め方の枠組みが強固な「構成的エンカウンター・グループ」が1970年代半ばより多くの人々によって行われるようになりました。こちらは國分康孝らによる研究が積み重ねられ、現在も教育現場を中心に盛んに実践されています。

■箱庭療法
1965年に河合隼雄がドラ・カルフの「箱庭療法」を日本に紹介しました。砂箱にミニチュアを置くだけで心を表現できる箱庭療法は、言葉で表現するよりも直感的な把握が得意な日本人に適しており、急速に広まっていきました。

■アダルト・チルドレン
依存症臨床に携わっていた信田さよ子は、アメリカで生まれた「アダルト・チルドレン(AC)」の概念を広く紹介しました。“現在の自分の生きづらさが親との関係に起因すると認めた人”と定義されたACは、日本での「母性愛」や「家族愛」の強制で見えなくなっていた、親から子への支配による苦しみを明らかにしました。

■AI(人工知能)やICT(情報通信技術)を使った心の支援
下山晴彦はAIやICTを活用し、病院や相談機関に出向かなくても気軽に心のケアに取り組めるアプリやプログラム開発に取り組んでいます。
2021年8月にはパーソルワークスデザインとの共同研究による、「こころの健康アバター支援サービス KATAruru」を発表。自分の顔や姿を見せずにアバターで心理カウンセリングを受けられるシステムを構築しています。

まとめ

元々はアメリカ発祥の心理カウンセリングですが、日本への導入後は日本社会や日本人の心に合わせた形で発展を遂げています。
また、心理カウンセリングと聞いてイメージされやすい「面接室に二人きり」という形だけではなく、多様な形での実践も積み重ねられています。
「心理カウンセリングを受けてみたい」と思っている方は、自分自身にとって負担の少ない形式のものから始めてみると良いでしょう。

参考文献
*1 大塚義孝(2010)臨床心理学の歴史と展望 氏原寛・亀口憲治・成田義弘・東山紘久・山中康裕(編)心理臨床大事典 改訂版 培風館 pp7-15.
*2 田所摂寿(2018)専門職であるカウンセラーとしてのアイデンティティの構築─ カウンセリングの歴史と定義の変遷 ─ 作大論集 8 pp49-63.
https://sakushin-u.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=963&item_no=1&page_id=13&block_id=21
*3 坂中正義(2015)日本におけるパーソンセンタード・アプローチの発展―文献史を中心に― 南山大学紀要『アカデミア』人文・自然科学編 9 pp167-176.
https://core.ac.uk/download/pdf/236155422.pdf
*4 丸山和昭(2008)日本における「カウンセリング」専門職の発達過程 産業カウンセラーを事例として 産業教育学研究 38(2) pp1-8.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssvte/38/2/38_KJ00009203505/_pdf/-char/ja
*5 野島一彦(2000)日本におけるエンカウンター・グループの実践と研究の展開:1970-1999 九州大学心理学研究 1 pp11-19.
https://catalog.lib.kyushu-u.ac.jp/opac_download_md/826/KJ00000700553-00001.pdf
*6 村上慶子(2010)箱庭療法 氏原寛・亀口憲治・成田義弘・東山紘久・山中康裕(編)心理臨床大事典 改訂版 培風館 pp387-391.
*7 信田さよ子(1997)アダルト・チルドレン ―私の物語をつくり直す 日本家政学会誌 48(9) pp823-828.
https://dl.ndl.go.jp/view/download/digidepo_10581550_po_ART0003583537.pdf?contentNo=1&alternativeNo=
*8 下山研究室:ようこそ下山研究室へ
http://www.p.u-tokyo.ac.jp/shimoyama/