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根性がないとか甘えとかではない
悩み・気分

根性がない?甘えている?それは新型うつ病と呼ばれる状態かも

「休日は楽しいけれど、仕事のことを考えると気分が落ち込む」
「本当にしんどいのに、上司からは仮病と言われた…」
このような悩みの背景には「新型うつ病」と呼ばれる状態が隠れているかもしれません。
新型うつ病について理解できれば、自分自身の状態や必要となる治療が分かります。
そこで今回は、新型うつ病について、その特徴や従来のうつ病との違いをふまえながら解説します。

目次

(1)「新型うつ病」とは?
(2)うつ病と新型うつ病との違いとは?
(2-1)甘え・怠けと見られやすい新型うつ病の特徴
(2-2)うつ病と新型うつ病の治療法の違い
(3)まとめ

「新型うつ病」とは?

新型うつ病は、名前に「新型」とついているので、最近見つかった病気のように思われがち。しかし、実際には1970年後半から「これまでとは違ううつ病」が指摘され始めています。
その一例を挙げてみましょう。

1977年:逃避型うつ病(広瀬)
1991年:現代型うつ病(松浪)
1995年:未熟型うつ病(阿部)
2002年:職場結合型うつ病(加藤)
2005年:ディスティミア型うつ病(樽味)

これらをマスメディアが「新型うつ病」として取り上げた結果、広く知られるようになったのです。

ただし、新型うつ病はマスメディアによる用語であり、医学的な診断名ではありません。
「新型うつ病」として扱われる中には、

  • 非定型うつ病
  • 双極性障害
  • 神経症
  • 適応障害
  • 発達障害
  • パーソナリティ障害
  • 精神病

といった精神疾患から、健康な人の怠けや逃避まで、様々な要因がごちゃごちゃに混ざっています。

「え?どうしてこんなにたくさんの要因が一緒くたにされているの?」
と思うかもしれませんが、その理由としては「抑うつ状態がある=うつ病」と扱われてしまっているから。
抑うつ状態とは気分が落ち込んだり、憂鬱になったりすることを指します。
そして、実はうつ病でなくても抑うつ状態を症状のひとつとする精神疾患はたくさんあります。これは胃潰瘍や腸炎など様々な疾患で「腹痛」という症状が出るのと同じです。また、健康な人でも何らかの失敗やストレスを前にして一時的に抑うつ状態に陥ることもあります。
ところが、日本では「抑うつ状態」と「うつ病」という言葉が明確に区別されずに使われた結果、従来のうつ病とは違うパターンで抑うつ状態が起こると、どんな要因が背景にあるかに関わらず「新型うつ病」としてまとめられてしまったのです。

ただし、場合によっては「新型うつ病」と「非定型うつ病」が同じ意味で用いられていることもあります。
なお、今回の記事では、新型うつ病と非定型うつ病は別のものとして扱います。

うつ病と新型うつ病との違いとは?

甘え・怠けと見られやすい新型うつ病の特徴

従来のうつ病の発症は中高年に多く、平日でも休日でも抑うつ状態が続き、好きな活動への意欲や関心も失う傾向が見られます。また、自責感や不眠・食欲不振といった症状も現れます。
一方、新型うつ病では、20~30代と発症する年齢層の違いが見られます。また、ストレスのかかる仕事の日などには抑うつ状態に陥るものの、休日には元気を取り戻し、好きなことを楽しむことができます。また、他罰的になったり、過眠・過食などの症状が現れたりします。
このような症状から、新型うつ病は他者から「嫌なことから逃げて好きなことだけしている」「他人のせいにばかりするわがままな人だ」とネガティブに捉えられやすい上、「眠れる・食べられるなら健康だろう」と仮病を疑われるなど、本人の苦しみが理解されづらい傾向にあります。
しかし、抑うつ状態の苦しみは従来のうつ病と同様で、適切な治療が求められることに変わりはありません。

うつ病と新型うつ病の治療法の違い

うつ病には抗うつ薬による薬物療法が用いられてきましたが、さまざまな要因が背景にある新型うつ病には効果が限定的とされています。主治医と相談しながら自分に合った薬を見つけていくことが求められます。
一方、新型うつ病とカウンセリングは相性の良い治療法であると考えられています。新型うつ病ではストレスがかかると抑うつ状態に陥る傾向が見られるため、カウンセリングで「自分自身がどんなストレスを苦手としているのか」を知り、ストレスへの対処方法を習得することが、症状の軽減に役立つからです。
休職中の場合にはリワークプログラムなどを利用するのも良いでしょう。

まとめ

新型うつ病の背景には「抑うつ状態」を引き起こす様々な要因が隠れており、従来のうつ病とは異なる以下のような症状を示します。

  • 仕事の日には抑うつ状態に陥るが、休日には元気になる
  • 他罰的になる
  • 過眠や過食が起きる

これらの症状は周囲の人に「根性がない」「甘えている」という誤解を与えやすいのですが、実際には適切な治療が必要となるケースがほとんど。
新型うつ病の治療では、医療機関による薬物療法のほか、カウンセリングやリワークプログラムなどを合わせて活用するのが効果的です。

参考文献
*1 生田孝(2014)臨床現場における「新型うつ病」について 労働安全衛生研究 7(1)pp13-21.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/josh/7/1/7_13/_pdf/-char/ja
*2 井上萩乃・甲良宗良(2020)「新型うつ」の特徴と現状に関する文献レビューと今後の研究の展望 徳島大学総合科学部 人間科学研究 28 pp11-21.
https://repo.lib.tokushima-u.ac.jp/ja/115580
*3 坂本真士(2017)「新型うつ」への心理学的アプローチ 心理学ワールド 76 pp27-28.
https://psych.or.jp/wp-content/uploads/old/76-27-28.pdf